「鷽(うそ)」替え神事(1月24日、25日)
文政三年(1820)、九州の太宰府天満宮にならって初めて行われ、今に続く亀戸天神社第一の特殊神事です。
「神前に於て互にとりかへて其の年の吉兆を招くことになん、是や今迄のあしきもうそとなり吉に鳥かへんとの心にてうそかへといふ(中略)信心の人々かひ求めて神前にあると鳥かへなば、かけまくも賢き神の御心にもかなひ開運出世幸運を得べきになり」と伝えています。
「鷽(うそ)」とは、幸運を招く鳥とされ、毎年新しい「鷽(うそ)」に替えると、これまでの悪いことが”うそ”のようになり、一年の吉兆を招き開運・出世・幸運を得ることができると信仰されてきました。
一説には、「鷽」が「嘘」と音(おん)が相通ずることから、人々が知らず知らずの内についた「嘘」を「誠」に替えて戴くという意味を合わせ持つともいいます。
近年、御祭神・天神様が学問の神様であることは勿論、今日の難しい進学の状況と、この神事が行なわれる日が受験期の直前に当たることから、広く学問を志す人、特に受験生の参拝が非常に多く、このような風潮も元をただせば「鷽替神事(うそかえしんじ)」の本来の意味に含まれていることは言うまでもなく、信仰の新しい芽生えと言えます。
鷽替神事の起源は太宰府天満宮です。その年代は確かではありませんが、万治年間(1658-1661)には、既に盛 んに行なわれていたという記録が残っています。
また、「鬼すベ」(節分追儺祭(せつぶんついなさい))に奉仕する祭員を熊蜂(くまばち)が刺して悩ました時、鷽が飛来して退治したので、以来「鬼すベ」に奉仕する各員は鷽の形の物を手にするようになったいわれ、社殿建立の折、害虫が出てきて工事を妨げ、材木を喰い荒らした時、一群の鷽が現われて退治したとも伝わっているが、文書に徴するものがなく、起源、由来等は詳らかではありません。
鷽は実在の烏で、山間部に生息し、雀科に属します。この鷽が木の枝に止まっている形を鑿(ノミ)とナイフと鋸(ノ コギリ)で〈こけし風〉に彫ったものが、神事で授与される〈木彫りの鷽〉で、頭と尾を黒く、口辺を赤く、背を縁に、後頭部を金色に色付けされている。
(左写真は、鷽を形どった歩道にあるモニュメントです)
高さ4.6cmから21cmのものまで10種類と、高さ4cm直径6mmの極小の鷽があり、古くは榊(さかき)を用いた時期もあったようですが、おおむね柳を材とし、現在は極小のものを除いて檜(ひのき)を使用し、神職が一年がかりで調製します。
一月二十四日早朝祭典を執行後、太鼓の合図で神事が始まり、神社から鷽が授与されます。元は太宰府と同じく、夜 に入って行なわれ、「諸人抽(そで)にして取かふる神事なり」とあって、参詣人が相互に交換するのを本旨としましたが、明治時代になってその風が改められ、今日のように昼間社頭から授与されるようこなりました。尚、鷽は年を追って大きなものへととり替えていくのが習とされています。十年で一巡りする訳です。
翌二十五日は「初天神」にも当ります。朝早くから参拝者を迎え、午後四時前後には全ての鷽が飛び立ってしまい、この年の神事は終了します。終了と同時に御神前でお祓いののち、天神様より番号を戴き、「金鷽」の当選番号が張り出されます。この「金鷽」に当った人は、この一年特に幸運であると伝えられています。
(亀戸天神社の説明資料より)
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